新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行をきっかけに、わたしたちの生活様式は大きく変わりました。長期休暇の過ごし方として人気だった海外旅行も難しくなった2021年、旅行スタイルはどう変わるのでしょうか。アメリカン・エキスプレス・インターナショナル,Inc. が世界7カ国の会員向けに行った調査結果「Global Travel Trends Report」がヒントになるかも知れません。
目次
旅行欲の高まり
今までは旅行といえば「どこに行くか」が主な考え方でしたが、ポストコロナ時代は「どのように過ごすか」が大きな焦点となりました。回答者のうち64%は旅行の再開を楽しみにしていて、特にウェルネス(健康)に焦点を当てた体験、料理の探求、家族や友人とのつながりなど、リラックスするための旅行計画を立てています。
予約タイミングの変化
56%の回答者が「(将来的に感染状況が悪化して)将来的にキャンセルせざるを得ないとしても予約はしておく」と回答しています。感染状況やGoToトラベルキャンペーンの実施状況を見ながら予約するのではなく、事前に予約しておいてキャンセルすればいいという考え方が主流になってきているようです。
より健康的に
回答者のうち87%は旅行の計画を立てているとき「わくわくする」(63%)、「幸せに思う」(53%)、「(明るい将来に)希望を持てる」(53%)と答えています。また回答者のうち78%は2020年に感じたストレスを、2021年に旅行することで発散したいと答えています。日本の回答者のうち70%は「家族と旅行したい」と回答するなど、家族や愛する人との時間を過ごすために旅行を計画している人が多くなっています。
よりリッチに
61%は、2020年に旅行できなかった分、普段の旅行よりも多くの予算を2021年の旅行に使うだろうと回答しています。
「贅沢な旅行」に求めるものの変化
コロナの流行は、「何を以て贅沢な旅行とするか」という考え方も変えました。回答者は「自分に趣味嗜好に合わせてカスタマイズされた体験」(82%)、「厳しく管理された衛生状態」(81%)、「プライバシー」(79%)が贅沢なアメニティーとして望ましいと考えています。事実、80%もの人が密を避けるためならオフシーズンの旅行でも構わないと回答しています。生活に必要な設備一式が揃ったヴィラなど、他の旅行者との接触が少ない施設への関心が高まっています。
旅行代理店への回帰
数年前までは、旅行代理店で申し込みパッケージ旅行から、個人で航空券やホテルを手配する個人旅行へとトレンドが変化しつつありました。しかし昨今の情勢もあり旅行の複雑さ(入国規制や施設の営業時間の変化、キャンセル規定など)が増し、信頼できる旅行代理店に相談したいというニーズが増えています。59%の人が次の旅行について旅行代理店に相談をする予定だと回答しています。
“セカンドシティ”にご注目
新型コロナウィルスの流行は、旅行の「行き先」にも影響を与えました。密を避け感染リスクを減らすため、69%の人が主要都市以外への旅行(日本なら東京以外、アメリカならニューヨーク以外など)に関心を持っています。
旅行もエシカル&サステナブルに
旅行を予約する際に、行き先や値段以外の要素に気を払う消費者が増加傾向にあります。69%の人は旅行を予約するときに、ダイバーシティ(多様性)やインクルージョン(すべての従業員が格差なく仕事に参画する機会を持ち、それぞれの経験や能力、考え方が認められ活かされている状態)を推進している企業で予約したいと考えています。
また59%の人はカーボンネガティブ(経済活動によって排出される二酸化炭素よりも、大気から吸収する二酸化炭素の量の方が多いという状態)な旅行に興味を持ち、60%の人はカーボンニュートラル(二酸化炭素の排出を全体としてゼロにする)を掲げている航空会社を利用したいと回答しています。