今回は、ツアーコンダクター・オブ・ザ・イヤー2017 準グランプリ(観光庁長官賞)を受賞した大矢 千尋さんに「心に残る旅」についてお聞きしました。
ツアーコンダクター・オブ・ザ・イヤー2017
準グランプリ(観光庁長官賞)受賞
大矢 千尋
- 所属
- (株)読売旅行
- 添乗員歴
- 8年目
- 添乗日数
- 約1,400日
- 渡航国数
- 約40ヶ国
- 添乗員を目指したきっかけ
- 大学生のときにバトントワリングという競技を行っていました。その遠征の際に出会った添乗員さんの姿を見て、この方みたいになりたいと思い添乗員を目指しました。その添乗員さんは、人に接する姿、観光地の案内、誘導すべてが素敵で、とても魅力的でした。
- お若いのにすでに約40ヶ国もいったことがあるのですね!その中で、もっとも心に残っている国はどこですか?
- 初めてのヨーロッパ旅行で訪れた、ドイツが心に残っています。
大学時代の校外学習で、いくつかの候補の中からドイツのドレスデンを選びました。
- 何か縁があってドレスデンを選んだのですか?
- いえ、候補の国について少し調べてみて、ドレスデンの街並みがキレイだという印象だけで選んでしまいました(笑)でも実際に行ってみたら想像以上の美しさで、ドレスデンを選択してよかったと思いました。古い時代の建物が現世まで大切に残されていて、まさに日本とは別世界でした。
- 特にお気に入りの観光スポットはどこですか?
- フラウエン教会(聖母教会)の内部の美しさには圧倒されました。現在のフラウエン教会は、第二次世界大戦の爆撃により一度崩落したものを再建したもので、全体的にはクリーム色の教会ですが、ところどころ黒ずんだ色の石とモザイク状になっています。この黒ずんだ部分は崩落前の瓦礫のかけらをできるだけ元の場所に組み込んだ結果で、戦争により一度破壊されたこと、そしてその傷が癒えたことを表現しているそうです。
私が訪れた際、「ドレスデン・エルベ渓谷」として登録されていた世界遺産から外されるかもしれないという時期でしたが、最終的に2009年に外されてしまい、本当に残念です。
※ドレスデンはエルベ川に新たに建設した橋が文化的景観を損ねるという理由で、2009年6月に世界遺産の登録を抹消されてしまいました。
- 添乗員として同行した中で、もっとも心に残っている出来事・やりがいはなんですか?
- やはり、デンパサール国際空港(ングラ・ライ国際空港)での乗り継ぎができなかったことが何よりも心に残っており、一生忘れないと思います。
大矢さんは2016年5月、ジャワ島・バリ島 5日間のツアー添乗中に、デンパサール国際空港が滑走路亀裂により閉鎖。延泊を伴う乗り継ぎが必要になってしまい、さらに航空会社との交渉はすべて英語で行う必要がある中、自らが添乗するツアーの参加者20名だけでなく、ツアー参加者ではない他の日本人56名の分まで交渉を行い、全員を無事帰国させた。この功績を高く評価され、ツアコン・オブ・ザ・イヤー2017の準グランプリを受賞した。
- 大変なトラブルの中、総勢76名分の手配を行い無事に帰国させたそうですね。そのような状態ではきめ細やかな対応は難しいと思いますが、気をつけていた点はありますか?
- みなさまが延泊のためホテルにチェックインなさった後は、とにかく最新の情報をキャッチしてみなさまに提供できるようにと考えていました。トラブル発生から無事に帰国するまでの2日間は、情報収集のため実は一睡もできませんでした。
予想外のトラブルの中、帰国便の手配ができるまでどれくらいかかるのか、いつまで待てばいいのか、という情報がわからないことが、不安なみなさまにとって一番のストレスになると思いますので。
- 帰国便の手配だけではなく、精神的なケアまで心がけるとはさすがです。無事に帰国できたときはどのようなお気持ちでしたか?
- 関西国際空港に到着し、ターンテーブルの所でいろいろな方に「お疲れ様」「いろいろありがとう」など、たくさんお声をかけていただいたときに、ようやくほっと胸をなでおろすことができました。また弊社のツアーに参加してくださっていたお客様から後日感謝のお手紙をいただき、宝物にしています。
- その時の旅行者のみなさんにとって、大矢さんとの出会いは心に残る素敵な思い出になったことでしょうね。
- そうであったら私もうれしく思います。
つい最近添乗したツアーのお客様からも「読売旅行の海外ツアーに何度か参加しているが、ハズレがない!」とのお言葉をいただきました。素敵な思い出づくりをお手伝いできるよう、私個人としてはもちろんですが、読売旅行全社を挙げて取り組んでまいりたいと思います。
- ツアーに参加する方へ、旅行を心に残る素敵な思い出にするためのアドバイスがあればお願いします。
- 海外旅行であれば、それぞれの国を楽しむことが素敵な思い出にするコツだと思います。どうしても日本のサービスや清潔さなどを旅行先でも求めてしまいがちですが、日本を超す国はなかなかありません。日本との比較ではなく、現地の文化や習慣をありのまま受け入れ、違いを楽しんでいただけたらと思います。
また、何かハプニングがあれば記憶には残りますが、やはり最終的には事故や怪我なく無事に帰国できることが何よりも心に残る素敵な思い出になると思います。
- 最後に、他の旅行会社の添乗員さんに聞いてみたいことはありますか?
- 添乗中にハプニングはつきものですが、一番起きてほしくないハプニングはなんですか?また、もしもそのハプニングが起こってしまった場合、どのように対応するか伺ってみたいです。
ツアーコンダクター・オブ・ザ・イヤー2017 でグランプリ(国土交通大臣賞)を受賞された
中田 啓司 さんからの回答はこちら >>
- 大矢 千尋さん、ありがとうございました。
- 9月には、NHK交響楽団の方々が「日越外交関係樹立45周年ベトナム公演」を行うにあたり添乗なさるそう。「N響がベトナムで公演を行うのは今回が初めてなので、演奏に集中できるようしっかりとアテンドを努めたいと思います。」と力強く語ってくれました。今後の大矢さんの活躍からも目が離せません。
- ドレスデン
- 芸術と文化の都として、その名をヨーロッパ中に轟かせたドレスデン。ドイツ・バロック時代の壮麗な姿をとどめる古都は、19世紀の詩人アンデルセンが「ドイツのフィレンツェ」と称えるほどに、まるで街全体が美術館のようです。
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- バリ
- 神々の島、地上最後の楽園と呼ばれるバリ島は、インドネシアのほぼ中央に位置する火山島です。古くからリゾート地として開発され、世界中から観光客が集まります。食事やショッピング、今も残る伝統芸能などをお楽しみください。
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- ― ツアーコンダクター・オブ・ザ・イヤーとは ―
- ツアーの現場で、旅程管理・安全管理の他に価値ある旅の演出家として顧客満足を高めるために日々努力、研鑽を重ねている優れたツアーコンダクターを表彰する制度です。
ツアーコンダクター・オブ・ザ・イヤー実行委員会が主催し、2018の受賞者は9月21日(金) にツーリズムEXPOジャパン2018にて表彰予定です。(※9月20日(木)、21日(金)は業界関係者の商談会のため一般の方は入場できません。)詳細は一般社団法人 日本添乗サービス協会ウェブサイトをご覧ください。