人気添乗員さんに聞く「心に残る旅」。今回はツアーコンダクター・オブ・イヤー2017 グランプリ(国土交通大臣賞)を受賞した中田 啓司さんにお聞きしました。
ツアーコンダクター・オブ・ザ・イヤー2017
グランプリ(国土交通大臣賞)受賞
中田 啓司
- 所属
- (株)エイチ・アイ・エス
- 添乗員歴
- 23年
- 添乗日数
- 約4,000日
- 渡航国数
- 143ヶ国
- 受賞歴
- ツアーコンダクター・オブ・ザ・イヤー2017 グランプリ(国土交通大臣賞)
ツアーコンダクター・オブ・ザ・イヤー2018 奨励賞
- 資格
- 世界遺産マイスター、エリア・スペシャリスト(日本旅行業協会)全8エリア認定、観光地理1級(JTB綜研)、添乗能力資格1級、日本添乗サービス協会永年勤続者表彰、地理・歴史教員免許、クルーズ・コンサルタント、英検1級、世界遺産アカデミー公認講師(2018年8月17日現在)
- 中田さんはもともとバックパッカーとして世界中を旅していたそうですが、今まで旅行した中でもっとも心に残っている国はどこですか?
- 143ヶ国も旅をすると、一箇所だけを選ぶことはなかなか難しいのですが、学生時代からずっと憧れていたギリシアに降りたった時は感無量でした。ギリシアを含め、地中海周辺の歴史や文化、風土に興味があったので感動したのですが、すぐに自分の語学力の乏しさや、世界はおろか日本のこともろくに知らない自分にショックをおぼえました。日本に戻ってからすぐに語学の学習をはじめ、歴史、文化、世界情勢の勉強に励みました。
- 旅をすることで、ご自身に大きな変化が生まれたということですね。
- まさにその通りです。海外旅行は時に人の人生に大きく影響します。世界は広く、自分の目で海外を見て、外国人とコミュニケーションをとって見識を広げることは誰にとっても有効です。特に若い方にはどこでもいいので是非、海外旅行に出て欲しいです。
- 若者の旅行離れが叫ばれていますが、貴社ではどのような取り組みをなさっていますか?
- もし旅行に興味はあるけどあと一歩が踏み出せない、という方がいらしたら、ぜひH.I.S.の店舗にお越しいただきたいです。「添乗員デスク」という、現役のツアコンに無料で相談できるサービスをいくつかの店舗で導入しています。旅のプロである添乗員に直接相談できることで、ご自身の希望が少しずつ明確になってくると思います。
- 現役の添乗員さんに相談できるのは心強いですね。どのような質問が多いのでしょうか?
- 旅行に申し込んでいる方やお申し込み前の最終確認として、宿泊予定ホテルの近くにスーパーマーケットはあるか、自由時間の解散場所はどこか、といった現地事情に関する質問が多いです。逆に、まったく何も決まっていないけど漠然と旅行に行きたい方や、複数の行き先で迷っている方からの相談を承ることもあります。
また、ガイドブックからは読み取れない最新情報や添乗員の「本音」をお話することで、想定していなかった国へ行くことを決めたり、フリープランを申し込んで観光はご自身で手配する予定を、添乗員同行ツアーに変更する方もいます。
- どこの国へ行くかだけではなく、個人手配旅行やツアーなど、旅行のスタイルについてもアドバイスしていただけるのですね。
- はい、行き先でも旅行のスタイルでも、人気の旅行先でも現地の気候や適した服装でも、本当になんでも相談できますので、お気軽にご来店ください。
- バックパック旅行も経験し、現在は添乗員としてご活躍されている中田さんから見て、添乗員同行ツアーについて魅力やメリットが十分に伝わってないと感じることはありますか?
- やはり、添乗員同行ツアーだと自由がないと誤解していらっしゃる方が多いようですが、ツアーでも自由時間がちゃんと用意されたコースも多いです。個人旅行しか経験のない方がツアーに参加してみて「ツアーがこんなに楽だとは思わなかった」という感想をいただくこともあります。
確かに何もトラブルがなければ個人旅行もいいでしょうが、残念ながら旅行にトラブルはつきものです。何か起こった時に経験豊富な添乗員に頼れるツアーは、やっぱり安心です。また、限られた時間を有効に無駄なく観光に使えるのはツアーが一番ですし、個人旅行では実現できないリーズナブルな料金を出せるのもツアーの魅力です。
- 中田さんが思う、添乗員同行ツアーの魅力とはなんですか?
- 楽しい事や感動を人と分かち合うことで旅がより一層楽しくなることが、一人旅では味わえないツアーの大きな魅力です。
旅行とは「旅行観」を形成するもので、旅行観は人それぞれ違います。ツアーでは、自分以外の人とも旅行観を共有することで、旅がより豊かになります。そのためには、ツアーの参加メンバーの中に、「和」が必要になります。その「和」を作るのが私たち添乗員の役目であり、そのような環境が整ったツアーは一生忘れられない心に残る旅になります。
- 約4,000日の添乗経験がある中田さんが添乗員として同行した中で、心に残っている出来事・やりがいはなんですか?
- 旅は開放的になり、仲間がいるツアーでは、旅やそれにまつわる話しに花が咲きます。
あるお客様はシベリア抑留の時の思い出を語ってくれました。その時の辛い経験があるので本当はロシアには行きたくないが、仲間の墓参りのためにロシアへ行きたいと言う事でした。奥様曰く、シベリア時代の話をしたのは初めてだそうです。ツアーの良さは、日本全国から年齢も経験もさまざまな人が集まり、普段聞けないような話を聞ける事も大きな魅力です。
シベリア抑留とは
第二次世界大戦終戦後、武装解除し降伏した日本人が旧ソ連に捕えられ、主にシベリアへ移送され奴隷的強制労働を強いられたこと。マイナス30度にもなる極寒地で満足な食事や休養を与えられず、抑留された57万5千人のうち、約5万5千人が死亡した。この行いは「ポツダム宣言」に反するもので、1993年にエリツィン大統領が訪日した際、謝罪の意を表した。
- ひとつの旅行先でも複数のツアーがあり迷ってしまうときに、自分に合うツアーを見つけるコツはなんだと思いますか?
- 自分の優先順位を今一度見つめ直すといいのではないでしょうか。
どうしてそこに行きたいのか、一番興味がある事は、食なのか、買い物なのか、観光なのか。食ならばレストラン等にこだわっているコースを、買い物なら自由時間が多く、市内中心にホテルがとれるコースを、観光ならば充実した観光をうたっているコースを選んでいただけると。優先順位を書きだして検討してみたらいかがでしょうか。
- HISといえばフリープランなど格安旅行のイメージがありますが、貴社の添乗員同行ツアーはどのような特徴がありますか?
- エイチ・アイ・エスは、お客様に思い思いのお時間を過ごしていただけるよう他社に比べ自由時間をしっかり取っていたり、自由時間でご不安を感じる方にはその間に選べるプランをご提示し、お客様のニーズに合ったご旅行を提案していると思います。また、比較的アクティブで、旅を楽しめるお客様からは特にご愛顧いただいているようです。
- ツアーに参加する方へ、旅行を心の残る思い出にするためのアドバイスがあればお願いします。
- 知らない国へ行きますので日本と違うのは当たり前、高いお金を出して、長い時間飛行機に乗って日本と同じだったら行く意味ありません。旅はカルチャーショックの連続。むしろ、「それ(日本との違い)を見に来たのだ。」という心構えが必要です。
旅上手な人は好奇心旺盛で、順応性があり、どんな状況も楽しめる方の事だと思います。そして、この資質は旅の回数とは全く無関係です。ご自身のことを変化に弱いと思われている方も、一度旅をしてみたら意外な自分を発見できるかもしれませんよ。
- ツアーコンダクター・オブ・ザ・イヤー2017 準グランプリの読売旅行 大矢さんからの質問です。
添乗中にハプニングはつきものですが、一番起きてほしくないハプニングはなんですか?また、もしそのハプニングが起こってしまったら、どのように対応しますか? - 旅程に影響があるハプニングは嫌ですね。やっと時間を作って遠い所まで来ていただいたお客様が見たいものが見られない、望んでいた経験が出来ないのは、忍びないです。また、望まない状況が起きてしまったら、出来るだけお客様の失望の少ない現状ベストと思われる代替案を考えます。
ツアーコンダクター・オブ・ザ・イヤー2017で準グランプリ(観光庁長官賞)を受賞された
大矢 千尋さんへのインタビュー記事はこちら >>
- 中田 啓司さん、ありがとうございました。
- 中田さんは2018年9月7日から、なんと26日間の世界横断ツアーに添乗します。ニューヨーク、ナイアガラ、リマ、マチュピチュなどを経て、バルセロナからは7泊8日の地中海クルーズ。バルセロナに戻って下船した後は、セビリア、グラナダ、マラガ、ロンドン、パリなどを巡るツアーとのこと!これからも中田さんの活躍から目が離せません。
- ギリシャ
- 暖かな陽光降り注ぐ紺碧の地中海、目を見張る青い空と白い家並み…。ギリシャ神話に彩られた首都アテネはまさに別天地。アクロポリスの丘に建つパルテノン神殿やオリンピック発祥の地であるオリンピア遺跡は必見です。
- 添乗員付きツアーはこちら!
- ― ツアーコンダクター・オブ・ザ・イヤーとは ―
- ツアーの現場で、旅程管理・安全管理の他に価値ある旅の演出家として顧客満足を高めるために日々努力、研鑽を重ねている優れたツアーコンダクターを表彰する制度です。
ツアーコンダクター・オブ・ザ・イヤー実行委員会が主催し、2018の受賞者は9月21日(金) にツーリズムEXPOジャパン2018にて表彰予定です。(※9月20日(木)、21日(金)は業界関係者の商談会のため一般の方は入場できません。)詳細は一般社団法人 日本添乗サービス協会ウェブサイトをご覧ください。