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あのベンチに座りたい あそこなら…
ドゥブロヴニク(クロアチア)
3つある城壁の門のひとつ、プロチェ門を入ってすぐの橋に差し掛かった瞬間「ここだ」と思った。素朴な旧港が広がる。聖イヴァン要塞の向こうにロクルム島が見える。要塞の先には可愛らしい灯台があって、ベンチがいくつか並んでいる。美しい。橋のサイドにある飾り窓から、その風景を覗いては笑う幼い女の子がいた。ちょっと楽しそうだったので、まねをして、飾り窓越しにシャッターを2度切った。あそこに行きたい。あのベンチに座りたい。あそこなら、きっとこの世界遺産をひとり占めできるはずだ。
雲行きが少し怪しくなってきた。にもかかわらず、目前のアドリア海は想像した以上に澄んでいて、「真珠」と形容されるのが相応しいことが分かる。オノフリオの大噴水でペットボトルに補充した水をひと口。この外気温なのに、まだ冷たくて一息つける。ベンチに腰を下ろして、しばしひとり占めのひとときを満喫する…。
この街は「どこを見ても、どこから見ても絵になる」のは、来た瞬間から分かっていたが、灯台にいちばん近いところから眺める要塞の姿は、ことさら自分だけの風景に思えた。ここから見るドゥブロヴニクは、城塞に隠れて象徴的な色テラコッタオレンジの印象が少し薄いこともあって、“らしくない”風景ではある。しかしそこには、自分が発見したような身勝手な優越感もあって、記憶の奥底に強く刷り込まれるような気がした。すぐ近くにいる大柄な白人も、そんな顔をして城塞を眺めている。旅人よ、お前もか。
街角10minとは… 目の前で起こる偶然は、私だけのストーリー。旅先では、ひょんな出会いが、一生の思い出に…。ふと感じる、街角の数分間。 そんな、夢にも似た物語をお送りします。旅は、いいものですね。
- ドゥブロヴニク
- イタリアを対岸に望むアドリア海に面した城壁都市。15〜16世紀にヴェネツィアと並ぶ貿易都市として栄えた街並みは「アドリア海の真珠」と称されるほど美しく、現在もその姿をとどめています。
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- ザグレブ
- 赤い屋根の家々が並ぶクロアチアの首都。サン・マルコ大聖堂や国立劇場、多くの博物館・美術館、創立300年を誇るザグレブ大学などの施設が集まっています。
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- プリトヴィツェ湖群国立公園
- 大小16の湖と無数の滝が点在し、それぞれの湖が滝に数珠状につながれています。その規模は南北に8km、水と緑のつくり出す美しい景観を形成しています。
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- スプリット
- もともとは4世紀のローマ皇帝が引退後に住んだ離宮。神殿の外壁が城壁に、霊廟が大聖堂になっていて、現在でも人々が日常生活に利用しています。
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- トロギール
- 本土とチオヴォ島に挟まれた小さな島。狭い島内には、聖ロブロ教会をはじめ、様々な時代の歴史的建造物がひしめきあっています。
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