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テラスにも劣らない スタンディングスタイル
ブリュッセル(ベルギー)
世界で最も美しいと称されるグランプラスにも、ショッピングアーケードのギャルリー・サン・チュベールにも、小さな路地裏のアジアン食堂に至るまで、多くのレストランやカフェにはテラス席がある。席に着いてのんびり。「腹を満たす」というより、「ひとときを味わう」という風情だ。右手を軽く上げてギャルソンを呼ぶ女性、デミタスカップを持ったまま新聞を読みふける初老の男性。地元の人も旅行者も、この至福の時間は譲れない。まるで、のんびり過ごす権利を主張しているようだ。しかしこの街には、のんびりせずに美食にあずかりたい人もいる。しかも、オープンエアで。
待ち合わせだろうか。カトリック教会横でたたずむ女性は、山盛りのフリッツを立ち食い中だ。そこに友人が現れると、ふたりして大笑い。友人も同じくフリッツの山盛りを持っていたからだ。あちらを見れば、大きなバックパックを背負った若者が、テイクアウトした生クリームたっぷりのワッフルを頬張りながら、チョコレートショップのショーウィンドーを覗き込んでいる。いやはや、まだ食べるつもりなのか…。 この街は、美味しいものであふれている。しかも立ったまま楽しんでいる人が、なんと多いことか。フリッツもチョコレートもワッフルも、買ったその場でパクリ。その旺盛な食欲と反比例する体型に、少なからずの不平を感じながら、お目当ての聖カトリーヌ教会へと向かった。
ここには有名なシーフードを堪能できる店がある。鮮魚を扱う店だが、料理も出す。しかも調理する人も食べる人も、ここではスタンディングだ。人気店なだけに小さな行列ができているが、回転はとても早い。テラスでのんびりというより「今日はサクッといこう!」の雰囲気。日本人には馴染みやすいスピード感だ。 よく見ると、多くの人がボールに入ったフィッシュスープを食べているので、習ってオーダーする。肉厚の白身が入ったトマトベースで、付け合わせには山盛りのガーリックマヨネーズがトッピングされたパンと、スープに投入するチーズ。なかなかのボリュームで、しかもおいしい。食事の時間帯ではないのに、なるほど、人気なわけだ。山盛りのフリッツを食べながら待ち合わせをしていた女性たちが、行列の後部に並んでいる。おやおや、スタンディングのはしごですか。ブリュッセルの昼下がり、なんとも、楽しそうである。
© ベルギー・フランダース政府観光局
La Mer du Nord ラ・メール・ドュ・ノール グランプラスから徒歩約6〜7分。店内は鮮魚や惣菜を扱っています。8:00〜18:00(日曜11:00〜20:00)月曜定休。フィッシュスープは6ユーロ。(2018年3月現在)
街角10minとは… 目の前で起こる偶然は、私だけのストーリー。旅先では、ひょんな出会いが、一生の思い出に…。ふと感じる、街角の数分間。 そんな、夢にも似た物語をお送りします。旅は、いいものですね。
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